【社説①・03.31】:SNS依存症 米評決が問う企業責任は重い

【社説①・03.31】:SNS依存症 米評決が問う企業責任は重い

 為政(偽政)者たちに荒廃させられた空疎で虚飾の現代社会 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.31】:SNS依存症 米評決が問う企業責任は重い

 中毒性を高めるSNSの設計が未成年者を依存症に陥らせる問題は、深刻さを増している。 

 巨大IT企業のお膝元である米国で、企業側の責任を問う裁判の評決が出た意味は重い。企業に対し、今後の対応策を迫るものだと言えよう。

 20歳の原告女性が、精神的な問題を抱えたのは中毒性の高いSNSの設計が原因だ、と訴えていた民事訴訟で、カリフォルニア州裁判所の陪審団は、原告の主張を認める評決を出した。

 インスタグラムを運営する米メタと、ユーチューブを傘下に持つ米グーグルに対して、計600万ドル(約9・6億円)の賠償金を支払うように命じた。両社は控訴する方針だという。

 訴状によると、原告は子供の頃からインスタグラムなどのSNSに没頭し、「自分は醜い」と思い込む身体醜形障害や、  うつ 病などを患った。これに対しメタは、家庭環境が原因だと反論していた。

 評決は「被告は利用者に危険性を警告せず、原告は精神的苦痛を被った」と指摘し、被告側の過失を認めた。アプリの制度設計について、企業の責任を広くとらえた評決ということになろう。

 未成年者のSNS利用を巡っては、性的な画像や偽動画、ネットいじめなど多くの問題が指摘されている。その中で今回の訴訟が問うたのは依存症の問題だ。

 SNSの運営企業は巨額の広告収入を得るために、閲覧数を増やすアルゴリズムを工夫し、怒りや驚きを誘発する刺激的内容を次々と無限に推奨している。利用者は「いいね」の反応を求め、一日中アプリを閲覧し続ける。

 依存症は大人でも問題になるが、発達途上にある子どもの脳は刺激に敏感で制御能力も未熟であり、特に配慮すべきものだ。

 米国では、SNS事業者に広範な免責を認める「通信品位法230条」があり、これが盾となって、利用者の投稿内容を巡る法的責任が問われにくかった。

 今回の評決はアプリの設計を焦点にした点が新しい。

 SNS事業者を相手取った類似訴訟は数千件に上るとみられ、ビジネスの根幹を突いた評決は画期的とも評される。SNS業界は、利用者の年齢制限の厳格化やアプリの設計変更など、抜本的な対策を検討すべきではないか。

 日本では、こども家庭庁が対策を検討している。米国の動向をにらみながらSNSの規制強化を図る場合の課題を洗い出し、議論を進めてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2026年03月31日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。