【高橋洋一・政治経済ホントのところ・04.21】:【就職氷河期世代の支援】:金融政策、雇用改善できるか

【高橋洋一・政治経済ホントのところ・04.21】:【就職氷河期世代の支援】:金融政策、雇用改善できるか

 為政(偽政)者たちに荒廃させられた空疎で虚飾の現代社会 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【高橋洋一・政治経済ホントのところ・04.21】:【就職氷河期世代の支援】:金融政策、雇用改善できるか 

 政府は、就職氷河期世代の支援に向け2028年度までの3カ年計画をまとめた。老後の年金が低水準となることを防ぐなど、困窮する人を減らし、生活基盤を安定させる狙いがあるという。

 氷河期世代とは、1993年~2005年頃(1970年~84年生まれ)に新卒就職活動を行い、バブル崩壊後の厳しい雇用環境(高い失業率)に直面した世代で、約1700万人存在する。

 直近約30年間の日本の失業率はおよそ2%から5%の間で推移している。5%に達したのはバブル崩壊後とリーマンショック後であるが、ともに日銀の金融政策の失敗だ。日本ではあまり認識されてないが、金融政策は雇用政策なので、雇用の悪化は金融政策の影響と考えてもいい。

 バブル崩壊で失業率が高くなったと思われがちだ。バブル時に地価や株価は高かったが、一般物価の上昇率はたかだか3%程度だった。だが、ひどいインフレと誤解した日銀は強烈な引き締め策をとった。仮に当時インフレ目標が導入されていれば引き締め策は誤りだと分かるだろう。

 地価や株価の上昇、特に株価は税制上の抜け穴が要因で高騰し、それにつられて地価が高くなった。その処方箋は税制対応だ。しかも、まずいことに日銀は官僚の無びゅう性により間違った金融引き締めを継続した。筆者の見立てはそれが「失われた30年」の要因の一つだ。

 リーマンショック後もやむを得ないと思われがちだが、日本はそもそも震源地ではない。各国ともに金融緩和で対応したとき、日銀だけがやらなかった。政府も当初大したことないという認識であった。そのため、円高が急速に進展し、経済成長を鈍化させ、その結果失業率を高めた。適切な金融政策だったら全部ではないにしてもある程度は防げただろう。

 氷河期世代では、厳しい雇用環境のために非正規雇用が多い。正規雇用で採用されず、契約・派遣・パートなど非正規雇用としてキャリアをスタートしたケースが多いからだ。

 適切な金融政策により雇用環境を改善するとともに、ハローワークを通じた正社員就職の支援、職業訓練、キャリアコンサルティングが主体になる。この観点から見ると、今の政策は氷河期世代の支援につながっているのだろうか。本コラムで示したように、日銀は利上げするたびに雇用を悪化させている。 

 ■(たかはし・よういち=嘉悦大教授)

 元稿:北國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【コラム・「高橋洋一・政治経済ホントのところ」】  2026年04月21日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。